数教研では計算をタイルで教えていますが、そのタイル操作は子ども自身に行ってもらいます。そのことで「計算ができる」という以上のことを子どもたちは学んでいくからです。
具体的なひき算の話をします。
子どもたちは小学校1年でひき算の基本を学びますが、特に難関なのは、14-8のようなくり下がりのあるひき算です。
これを教えるときには、
1) 14だから、十のタイル1本と、1のタイル4個
2) そこから8をとりたいが、そのままではとれない
3) 十のタイルを 5のタイルと1のタイル5個に両替(ここが「くり下がり」)
4) 10から8をとると、2個残る
5) 2個と4個で6個だから、14-8=6
という操作になります。
大人なら「これくらい1回やれば分かるだろう」と思うかもしれません。でも、まだ数を学び始めたばかりの子どもにとっては決してやさしいことではありません。
だから、この操作がスムーズにできるようになるまでやってもらいます。できるようになったら、タイルは『お守り』として隣において、「いつでも困ったら使ってね」と言っておきます。
すると、いつの間にか「先生、もういらない」って本人が言ってきます。
こうやってできるようになった子たちは、その後の学習でも、くり下りの意味や仕組みがわからなくて困るということはありません。
ひき算に限ったことではありませんが、計算は単に答が出ればいいのではなく、しっかりとしたイメージを持つことと、その仕組みを理解することが大切です。
そのための学習としてタイルはとても良い教具になっているのです。