計算ミスの中には、いわゆるケアレスミスといわれる、うっかりが原因の間違いがあります。
ケアレスミスが多いのは、その人の性格による所が大きいのでなかなかなくなりません。(私もそのひとりですが)
でも、一見するとケアレスミスのように見えても、本当はわかっていなかったということも少なくありません。
例えば、私がこの教室を始めた頃に来た小学5年生の生徒さんは「文章題が苦手」ということでいらしたのですが、学力診断をしてみると
6001÷3
のような問題を、2 あまり1 と答えていて、間違いを指摘しても、自分ではどこが間違っているかわかりませんでした。お母さまに話を聞くと、学校からはケアレスミスが多いと言われて、何度も計算練習をしているけれど間違いが減らないとのことでした。結局、その生徒さんは「わり算の意味」がよくわかっていないことが原因でその間違いを繰り返していました。だからその意味をきちんと教えると計算を間違えなくなったのです。
その後も
「10進法の仕組みがわかっていない」
「くりあがり、くりさがりが何をしているかわかっていない」
「計算の意味がわかっていない」
「数の大きさがイメージできていない」…
など、様々なことが原因で計算を間違える生徒さんたちを見てきました。
その生徒さんたちの多くは決してサボっていたわけではありません。むしろ、教えられた通りのやり方で計算をしようとしていました。テストや宿題でも8割以上は正解しているため、生徒さん自身も周りの大人も、「計算ミス」「不注意」と思ってしまい、わかっていないことに気づいていないことが数多くありました。
そんな生徒さんたちに、彼らのわかっていないところを納得できるように教えると、間違いはとても少なくなります。それだけでなく、「今までわからなかったことがわかった」と、とてもいい顔になっていくのです。