テストや宿題で正しく答がだせれば、そこの所は「わかっている」と思いますよね。でも、実はわかっていないかもしれないという話です。
例えば、「25を10倍するとどんな数になるでしょうか。」という問題が小学校3年生の算数の教科書にでてきます。
そして、「ある数を10倍すると位が1つ上がり、もとの数の右はしに0を1つつけた数になります。」という説明があります。
すると多くの子は「そうか、10倍すると0を1つつければいいんだね」と覚えます。100倍は0を2つ、1000倍は0を3つ…というルールなので覚えるのは簡単。だから、テストでも楽々正解します。
これ「わかっている」と言えるでしょうか。
実は、小数をやった時に10倍すると0を1つつけるというルールに従って
2.1×10=2.10
と答えてしまう人は少なくありません。
問題は「ある数を10倍すると位が1つ上がり」の部分です。ここをちゃんと理解していれば、2.1×10=21 になるはずですが、ここが抜け落ちてしまう子はたくさんいるのです。
(そして、小数のところで新たなルールを覚えることになる...)
ここの意味がわからなくて困っていた生徒さんには、10倍するということは×10の意味であることを確認した上で、×10をするとタイルがとなりの位へ移動すること、さらに筆算で計算して答を出してもらった上で、ようやく10倍すると0が1つつくというルールが正しいと納得してくれました。テストはできなくても、私はこれは立派な勉強だと思っています。
上の例は一例で、テストでできていても実はわかっていないということはよくあります。
テストを否定するつもりはありませんが、「テストで満点だから、全部わかっている」と思ってしまってはいけないんです。
算数や数学を勉強していると「わかったような、わからないような...」というモヤっとした気持ちになることがよくあります。子どもたちには問題の解き方を覚えるだけではなく、そうした気持ちも大事にして勉強してもらいたいと思っています。