今まで、
・「数えないで数を理解する」方法を学ぼう
・「指で計算してはいけません」と言う前にやるべきこと
・答えが9以下のたし算の話
・9までのひき算の話
などで、数教研の教え方について書いてきました。
これらの教材は、「水道方式」という教育理論をもとにして作られています。
この教育理論は、子どもたちの発達段階や理解の段階に沿ったもので、数学的にも理にかなった体系的な学習法になっています。
その理論の根幹をなす考え方のひとつが、水道方式の名前の由来になった計算の「型わけ」の考え方です。
例えば、小学校1年のたし算ですが、学校の教科書では、10までのたし算はそれ以上細かく分けず、一度に学習することになっています。
一方、私たち教材では、答えが5までのたし算、つまり 1+2 , 2+2, 3+2 , 4+1 のような計算を学習します。
この大きさでしたら、子どもたちはかなり直感的に答えがわかります。
ですから、子どもたちにとって、ここでの学習は答えを出すことより、
・たし算の意味 ・+,=などの記号や式の書き方に慣れる
ということに力を注げるわけです。そして、そこに慣れた段階で9までのたし算の学習を始めるのです。
3けたのたし算では、1けたずつの計算を3つ統合したものという考え方で学習します。すると「くり上がりのない計算」が基本形、「十の位への1回くり上がり」「百の位への1回くり上がり」「2回のくり上がり」そして、0の入った計算へと細かく型分けが可能になります。このことにより、子どもにとってやさしい計算から難しい計算へ学習が進んでいき、最後にそれらをすべてをまとめて学習することで、子どもたちにとって、負荷の少ない学習になるのです。
(3けたの計算については、またいろいろ思うところがあるので、後日書く予定です。)
このように基本形を「水源地」として、そこから広がっていく計算の型が水道のようということで「水道方式」という名前がつけられたのだそうです。
実際に教えていると、細かい型わけが本当に痒いところに手が届くような感じで、子どもたちの「わからない」に対応していることがわかります。小学校低学年は「学ぶとはどんなことか」を学習する時期です。この時期に学習上の混乱を最小限に抑えて、楽しく学習することはとても大切なことだと思っています。