答えが9以下になるくり上がりのないたし算は、子どもたちにとっては「指で数えられる」計算です。
だから、苦手…って思う人はあまりいないかもしれません。
でも、指を使っていると、2+7はとっても時間がかかったりすることは前に書いた通りです。(「指で計算してはいけません」と言う前にやるべきこと参照)
では、どのように教えれば良いのか、数教研の方法を紹介します。まず、教材についてですが、数だけの計算問題をやる前に、必ず絵やタイルの図がついた説明のための教材があります。
でも、それで説明して「はい、あとはできるでしょ」と言って計算問題をやらせても、なかなかわかるものではありません。
だから、生徒にはタイルを渡して、自分で操作をしながら答えを出してもらいます。
もし間違えても自分で正しい答を導くことができますし、たし算を操作として、数を量として理解していけるからです。
数字のまま計算できるようになっても、「お守り」としてタイルをおいていて、使う使わないはその子に任せます。
さて、私たちが最初に教えるのは5までのたし算、つまり 1+2 , 2+2, 3+2 , 4+1 のような計算です。
この大きさでしたら、子どもたちはかなり直感的に答えがわかるので、「たし算はあわせること」という概念を理解してもらうのにうってつけなんです。
たし算の概念がわかったら次は0です。
「零の発見」という本が書かれるくらい、人間にとって自然ではない数なので、子どもたちにとっても難しい概念です。
単に「何もない」ということなのではなく、「あるべきものがない」という感覚を、この後の「0のたし算」も含めて少しでもわかってもらいたいのです。
(この後も、0は様々なところで子どもたちの前に立ちはだかってきます。だから「少しでも」です)
ここまで準備ができたら、答えが6〜9になるたし算も楽々です。
まず、2+5 など5のたし算は楽々です。1+6や2+7のような「大きい数」のたし算でも(大きい数というのは、数えるのに時間がかかる数という意味です)
「1のタイル1個」と「5のタイル1つと1のタイル1個」を置いたり、
「1のタイル2個」と「5のタイル1個と1のタイル2個」を置いてしまえば、5のタイルに慣れた子にとっては簡単にわかってしまいます。2+6, 3+6 なども同様に考えられますから、この考え方で計算できないのは、
2+4(=4+2) ,3+3, 3+4(=4+3), 4+4 の4種類だけです。
答が9までのたし算の中では、この型が一番難しいので、慣れてもらえるようにしっかりと学習していきます。
数教研の教材は「水道方式」という考え方で作られています。
水道方式では、上記のように計算を「型分け」して、まずはその型ごとにしっかりと練習。
そして、最後にはそれを全部まとめて学習していきます。
このような体系的な学習を行うことで、最低限の計算練習で十分に効果をあげることができるのです。