今、学校の算数・数学教育では
「数学的なものの見方・考え方を働かせ、数学的活動を通して、数学的に考える資質・能力を育成する(小学校学習指導要領・算数科)」ということが教育目標となっています。
このことは、数教研では当然のことですし、私もとても大切にしています。
「数学的なものの見方・考え方」といういうと難しい問題ができることと思われるかもしれませんが、実はそんなことはないのです。
以前、教えてた生徒さんが3けたのたし算を始めようとした時の話です。
その生徒さんは、最初は「先生、ぜったい無理。そんな大きい数の計算、絶対できない」と言っていました。
でも「大丈夫、きっとできるから、一緒にやろう」とはげまして、学習をはじめました。
もちろん、いきなりはできないので、まず3けたの数をタイルでおく練習からです。
そのあとは、「351+247だから、タイルで置くと…..だから 598」というように、たし算の問題を1題1題タイルで置いて答えを出していきました。
すると、学習を始めて3,4回目だったでしょうか、
「先生、もしかして、200+300って、100のタイルが2枚と3枚だから500になるんだ!」という大発見をしたのです。
「そうなんだよ、すごいねぇ」と一緒に喜んだことは言うまでもありません。
今まで100を超える数はその生徒さんにとって「数えるのが大変な大きな数」だったのが「理解できる数」に変わった瞬間でした。
まとまりを考えて数を認識するというのは、立派な数の「数学的な見方」です。
こんな問題でも「数学的な見方」を身につけることがあるのです。