日本語は数をかぞえるのがとても楽な言語です。
だから小学校入学前の子でも100まで数えられるのはあたり前です。
でも数えるだけでは「数」を理解するのに十分ではありません。
例えば、大人にとっては当たり前の「十が3つなら三十」ということも、子どもにとっては当たり前ではないのです。
10年くらい前のことですけれど、電車の中で年長さんか1年生くらいの子どもたちが
「『じゅうじゅうえん』ってなんていうか知ってるか?」
「え、『じゅうじゅうえん』は『じゅうじゅうえん』でしょ」
「『じゅうじゅうえん』は『ひゃくえん』って言うんだよ」
「え〜!」
っていう会話をしていました。
この子たちは20, 30という数は数えられると思うのですが、そのことと10円が2つで20円、3つで30円ということが一致していなかったのでしょう。
生活の中で経験する学びとして、とても自然なことです。
これを整理してより広い視野を持てるようにすることが「教育」ですよね。
私たちは50年以上前から、10以上の数を学ぶときにはタイルを使って「十の位」「百の位」という考えをしっかりと理解できるように指導してきました。
子どもたちは1回説明したくらいでは位取りの考え方を身につけることはできないので、繰り返し経験することがとても大事だからです。
今ではタイル図は各算数の教科書に採用されるようになりました。それはタイルが数や計算を理解するのに有効だからでしょう。
どのようにタイルが有効なのかは、一言で説明することはできませんので、このあと少しずつ書いていきたいと思います。