『十三は103ではなく13と書く」このことをどうしてか説明できますか?
以前、「数学文化」という雑誌に石原清貴さんという元小学校の先生が書かれていた記事によると、約1/3の生徒がこのことを疑問思っていたけれど、先生には質問できなかったということです。(日本評論社「数学文化 第31号」)
この記事は今から3年ほど前のものですが、教科書が新しくなっても状況はおそらく変わつていないでしょう。
現代の日本では、多くの子どもたちが小学校に上がる前から「じゅうさん」は十と三をあわせた数で、13と書くということを知っています。そして、それを前提に小1の教科書は書かれています。
それは良いのですが、教科書の十三を13と書くという説明のページには、十のかたまりのタイルは書いてあるのですが、「十のくらい」ということは書いていないので、子どもたちの疑問にはきちんと答えられていないのです。(川崎市立の小学校が使っている教育出版の教科書の場合)
十のかたまりのタイル図は教科書に出ているのですから、それを使ってきちんと「十のくらい」や「一のくらい」という言葉で位取りの考えを説明してあげた方が納得がいくはずです。
(「十のくらい」という言葉は小1の教科書の終わりの方にちゃんと出てきます。)
さらに、別の問題もあります。
数をどう理解しているかということは、子どもの成長度合いや環境などで変わってきます。
小1のお子さんで下の写真のようなタイルを見せて「この棒は1本が十、小さいのは1個が1。じゃあ、これはいくつ?」と質問すると、十のタイルも含めて、1つ1つ数えて「14」と答える子も少なくありません。
これは「14は13の次の数」という見方はできるけれど、10と4で14という見方が『まだ』十分にできていないからでしょう。
このような子たちには「14は十の位のタイル1本と一の位のタイル4個」..という練習をすることで新しい概念を身につけていくことができます。
現在の教科書は「知識を与えて覚えさせるのではなく、考え方がわかったり応用ができるように」を重視したものになっています。
現代の数字の書き方(位取り記数法)は計算の考え方の基本になるものですから、今後ケタ数が増えたときの理解のためにも大事なはず。
また「数字の書き方のようなことにも、ちゃんと理由がある」ということを学ぶことは、「どうして?」という疑問をもって新しいことを学ぶ姿勢につながるのではないでしょうか。